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    • さくらのクラウドを触ってみた

    • 2021年12月24日
    • Iaas
    • さくらのクラウド

仕事としてはAWSやGCPがメインで他のIaaSを触る機会が少ないのですが、日本発で健闘されているさくらサーバのクラウドサービスはどんなものか気になってました。
さくらというと私の中ではインターネット黎明期のレンタルサーバで一世を風靡したイメージでして、私自身がWEBを齧りだしたくらいのときは、よくさくらのレンタルサーバアカウントを渡されてそこにFTPでつないでなんてことはよくやってました。
まぁそんな思い入れのあるさくらですが、実際にクラウドのアカウントを作成して色々いじってみました。

料金比較

ゾーンは東京と石狩があり、若干料金に差異があります。(プランにもよりますが3%〜10%ほど石狩のほうが安い)

ディスクサイズ、CPUスペックなどを細く設定でき、プランにより日額料金が変わってきますが、1ヶ月単位で20日間は日額料金が加算され、20日間を経過すると定額になります。

さくらクラウド料金シミュレーション

AWSとの料金比較ですが、
インスタンスタイプ:m5.xlarge、EBS:100GB、転送量500GBの内容で月額約28,000円程度となります。

さくらのクラウドの場合ですとこれに近いスペックにて、
ゾーン:東京第1、サーバープラン:仮想4コア / 16GB、ディスク:SSDプラン100GBの内容で月額約19,000円程度となります。

インスタンスタイプ規模がsmall以下のものだと、データ転送量も小さい場合が多いのでAWSのほうが割安になってきます。イメージとして規模が小さいほどAWSのほうがお得で規模が大きくなるほどさくらのクラウドがお得になっていくイメージとなります。
また、さくらにはデータ転送量による従量課金がないと書かれていますのでこのあたりがお得感に繋がってきそうです。

AWSにはバースト機能やネットワークパフォーマンス、プロセッサ、クロック数の違いもあるので単純比較は難しいところはありますが、ディスク100GB、転送量100GBを1ヶ月使用した場合の料金比較になります。

プラン AWS さくらのクラウド
t3.micro(仮想コア2 、メモリ1GB) 3,815円 6,710円
t3.small(仮想コア2 、メモリ2GB) 4,953円 7,370円
t3.large(仮想コア2 、メモリ8GB) 11,785円 11,330円
m4.xlarge(仮想コア4 、メモリ16GB) 24,277円 18,810円
m5.2xlarge(仮想コア8 、メモリ32GB) 44,204円 33,770円
m5.4xlarge(仮想コア16 、メモリ64GB) 85,732円 63,690円
c4.4xlarge(仮想コア16 、メモリ30GB) 87,071円 42,570円

参照 ざっくりAWS EC2

サービス

サーバのインスタンスについては仮想コア数、メモリ量でスケールができるのである程度このくらいのスペックという目星があればさくらクラウド未経験の方でも選定はしやすいかなと思いました。
またコア専有プランもありますので比較的自由度が高い印象です。
ラジオボタンでポチポチと選択できるのでなかなかサクサクと設定できます。
ディスク新規作成時に使用できるISOイメージとしてCentOS、Ubuntu、Debian、Windows Server等々一通り揃っているようです。

ディスクについてはSSDディスクか標準ディスク(HDD)かの選定となります。
ディスクに関してはアーカイブやISOイメージとしてバックアップや復元することができ、VPSサーバのディスクをアーカイブ化してクラウドに持ってくるなんてことも可能なので、スモールスタートでVPSの格安プランで始めて、ある程度規模感が出てきたらディスクデータをクラウドに引っ越しということもサクッとできてしまいます。
実際にやってみたところ200GB程度のディスクで約2時間程度でアーカイブできました。

ロードバランサ、データベース、NFS、ルータ、自動バックアップなどの機能はアプライアンスとして用意されていましたが、LambdaのようなサーバレスサービスやAurora、Cloud spannerなどのNoSQL的なサービスは今の所見当たりませんでした。

AWSのElastic IPのようにIPの付け替えというのはできそうにありませんでしたが、ルータ+スイッチ機能により1台のインスタンスに複数のグローバルIPアドレスを付与(同一のネットワーク)はできるようです。
AWSとは違い、VPCルータというのが別途用意されていますが、スイッチの機能によりプライベートネットワークを構築できるため、必ずしもVPCルータ必須というわけではないようです。

また、AWSとの接続オプションもあり、ローカルルータを使用し、AWS側に仮想プライベートゲートウェイを作成することで接続が可能となっています。
ですので、使い分けとして適材適所で機能を切り分けていくというも一つの手かなと思いました。

ちなみにローカルルータを使用することで、さくらのクラウド、さくらのVPS、さくらの専用サーバを接続することが可能となります。

実際にサーバを立ち上げてみた

今回こちらで試してみました。
OS:CentOS 7.9
CPU:仮想コア3 メモリ6GB × 2台
アプライアンスデータベース:データベース 仮想コア2 メモリ4GB + リードレプリカ
アプライアンス自動バックアップ:2世代管理
ネットワーク:スイッチ、パケットフィルタ
リージョン:東京第1

サーバ構成図としてはこちら
今回ロードバランサではなく、同一ネットワークに複数台接続して独立して機能するかを試してみました。

AWS同様にクラウド管理画面より追加していきます。
サーバ:サーバ項目から追加。サーバプランとディスクを選択しネットワークをどうするか決めたら作成をクリック
データベース:アプライアンスのデータベース項目から追加。冗長化、レプリケーションのチェック、PostreSQLかMariaDBか、データベースバーション、ディスクサイズを選択して作成をクリック
といった感じでサクサク設定できます。

今回スイッチを使用しプライベートネットワークを作成しているためそれぞれグローバル IPとローカルIPを設定していく必要があるのですが、このあたりは管理画面上には出てこず、直接サーバ管理画面に用意されているコンソールから設定する必要があります。どのサーバにどのIPを振り分けたかはGUI上には出てこないので手元でデータベースもレプリカ含めて把握しておく必要があります。
構築中に誤ってIPを重複させていたところ、DB接続がとんでもないくらい重くなったといったということがありました。

立ち上げ後の保守に関してですが、負荷状況を確認するのに、サーバ、データベースともにアクティビティという画面が用意されており、コア数によって上限値が決められているので状況がひと目で分かるのはかなり重宝しました。

実際に負荷をかけてデータベースのテストをした際のアクティビティ例

今回仮想2コアなのでCPU-TIMEにて2000msが上限となります。上限値を超えだすと一気にDBが不安定になり、接続エラーも発生したりもしました。

ベンチマーク

ベンチマークに関しては詳細にAWSとの比較テストをやっていただいているサイトがありました。

CPU性能、Writeはさくらのクラウドに軍配があがるようです。
Readに関してはさくらのクラウドにバラツキが、MySQLのTPSに関しては、若干AWSのほうが高速とのことでした。

さくらのクラウド と AWS EC2 を徹底的にベンチマークしてみた

SLA

クラウドサービス全般として、サービスレベルの定義を明確にするため、Service Level Agreement(サービスレベルアグリーメント)が設定されています。

AWS EC2の場合は99.99%以上、GCEの場合は複数ゾーンインスタンスで99.99%以上、単一インスタンスで99.5%以上、さくらのクラウドの場合は99.95%以上となります。

AWSやGCPについてはサービスによって細かくSLAが設定されているものの、さくらのクラウドにおいてはサーバとディスクのみSLAが設定されているようです。

数年前までAWSにおいてもサービス毎のSLAは設定されておらず、EC2も99.95%でしたので今頑張って追いついていってるのかなといった印象でした。
さくらのクラウドの評判自体は悪くないようなので今後に期待ですね。

SLA返金額返金方法
AWS EC299.99%以上99%以上99.99%未満 10%
95%以上99%未満 30%
95%未満 100%
AWSサポートセンターに
申し立てることにより
サービスクレジットとして返金
GCE複数ゾーンインスタンスで99.99%以上、
単一インスタンスで99.5%以上
複数
99%以上99.99%未満 10%
95%以上99.00%未満 25%
95%未満 100%
単一
95%以上99.5%未満 10%
90%以上95% 25%
90%未満 100%
Googleテクニカルサポートに通知、
将来の月額請求書にクレジット
さくら99.95%以上99.95%に満たなかった
サービス利用分
メールアドレス宛てに減額申請し、
利用料金を減額

まとめ

実際にサーバを立ち上げてみた感想として、思っていた以上に扱いやすく安定しており、料金帯もお手頃な印象でした。
2021年12月20日にさくらのクラウドが政府認定クラウドリストに登録され政府調達の対象にもなったとのこともあり、十分にサービスとして機能するのではないかと思われます。

AWSやGCPでサーバレス機能等を多用するというプロジェクトではなく、単純にWEBサーバとDBサーバがあればなんとかなるよという案件であれば、さくらのクラウドも十分に検討範囲に入るのではないでしょうか。

さくらのクラウドやSlackが“政府認定クラウドサービス”に登録 各省庁の調達対象に

さいごに

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この記事を書いた人 : 児嶋寛通

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