自分たちの思いを実現し続けられる配送プラットフォームを開発し、業務効率化、顧客満足度向上を実現!
株式会社タカダ・トランスポートサービス 常務取締役 竹内 智英 氏
配送業向け業務支援システム「ラクシス」開発
プロジェクト概要
プロジェクト名:配送業向け業務支援システム「ラクシス」開発 開発期間:2016年4月~2017年3月
課題
- ・既存システムは拡張性が乏しい(様々な課題を解決できない)
- ・クライアントと満足いく情報共有ができていない
- ・管理会計に必要な情報を正確に迅速に把握できない
ソリューション
- ・既存システムのリプレース
- ・タブレット用アプリのリリース
- ・管理会計への対応
効果
- ・受注業務のデジタル化が70%→100%
- ・経営資料作成が2日→1日
- ・拡張性の高い配送プラットフォームの完成
プロジェクトについてAbout project
- 新しい配送システムの名称に「ラクシス」と名付けた理由を教えてください。
- 「楽できるシステム」という意味です。従業員が楽できるのはもちろん、クライアント様も楽にならなければ意味がありません。それを実現するため、2016年4月にプロジェクトを立ち上げました。
- 御社にとってのクライアント様とは?
- 家具の販売店です。最近はECサイトも増えました。両方をクライアントと呼んでいます。
- プロジェクトはどのような体制にしましたか?
- 私が先頭に立ち、メンバーには業務に精通した者を集めました。ただし、風通しのいいプロジェクトにしたかったので、要望や意見のある社員からは積極的に話を聞きました。
- 当時は、配送システムに対してどんな課題を認識していましたか。
- 当時の配送システムは、パッケージソフトをカスタマイズしたものでした。パッケージソフトの拡張性には限界があります。「ああしたい」「こうしたい」という自分たちのアイデアが実現しづらい状況に課題を感じていました。
- 実現したかったことを具体的に教えていただけますか。
- 私どものビジネスは、クライアント(販売店・ECサイト)から依頼を受け、消費者へ商品を配送するわけです。消費者がクライアントへ伝えた事は、とうぜん弊社の配送員も知っていなければなりません。なぜなら消費者は、クライアントもTAKADAも区別しないからです。しかし当時は、弊社とクライアントとの間で満足いくような情報共有がなされていませんでした。それを補うために膨大な労力がかかる。それが1つ目の大きな課題でした。
経営的な課題もありました。アメーバ経営を目指しており、実現には管理会計を強化する必要があります。しかし、当時の配送システムでは大雑把な数字しか把握できません。それを補うためには労力がかかる。できるだけ情報を正確に、リアルタイムに把握したかった。それが実現すれば、経営判断のスピードが上がります。 当時はクライアントとの間で満足のいく情報共有ができておらず、膨大な労力を掛けてギャップを補う必要があった。
- 大雑把な数字しか把握できていなかった理由を具体的に教えてください。
- 当時は、現場の担当者が手入力したデータもあれば、他のシステムから引っ張ってきたデータもありました。入力ミスもあるでしょうし、情報の信頼性という観点でも疑問がある。そもそも集計できていないデータもありました。これでは大雑把な数字になってしまうのも致し方なかったと思います。
当社を選んだ理由Reason for choosing
- ラクシスを開発するにあたり、どうしてソリューションウェアを選びましたか。
- 知人の紹介でソリューションウェアの社長にお会いし、私は弊社が実現したいことを伝えました。最後に「業務を理解するために、エンジニアが3ヶ月ほど常駐してくれたら嬉しい」と話したところ、社長は「面白い」と二つ返事で了承してくれたんです。
- 他のシステム開発会社にも相談しましたか。
- いえ。弊社に3ヶ月も常駐してくれる会社なんて他にないと思います。たいていは、1日だけ現場を見に来て2~3時間したら帰ってしまいます。でもソリューションウェアは違った。「この人たちは本気でいいものを作ろうとしている」と感じたんです。だから、他社には声をかけませんでした。ただし、内製化することは検討していました。
- 最終的には、内製化するよりも外注した方がいいと?
- はい。外部の専門家は常にプログラミング技術やセキュリティー技術をキャッチアップしているでしょう。専門家だから向上心も高い。社内の人間は、それをやりたくて入社したわけではないので、高いモチベーションを維持させることが難しいと考えました。
- ところで、エンジニアが現場を知ることは、どれほど重要だと思いますか。
- システム開発とは、私たちがしっかりとビジョンを示し、エンジニアがそれを実現することだと思います。そうであるならば、エンジニアには弊社の業務を理解してもらっていた方がいいわけです。弊社は、過去にフルカスタマイズのシステムを作ったこともありますし、パッケージソフトを少しカスタマイズして使っていたこともあります。その時の経験から、そう言えます。
プロジェクトの実際についてProject operation
- プロジェクトが正式に稼働し、最初の3ヶ月はどのような期間でしたか。
-
ソリューションウェアのエンジニアが弊社に常駐してくれました。本社の業務を学んだり、配送センターで現場の人たちと業務フローを確認したり、忙しい日々だったと思います。
一緒に過ごすことで、打ち合わせだけでは伝えられないことがエンジニアに伝わったと思うんです。例えば、弊社の社員の性格を知ってもらったり、業務の隠れた問題点に気づいてもらったりすることもあります。1年以上のプロジェクトを成功させるには重要な時間でした。
例えば、エンジニアから「こうしたらどうですか?」「こういう機能をつけておいた方がいいですね」と提案をいただけた時は嬉しかったですね。「ラクシス」を1年後に稼働させるつもりでプロジェクトはスタートしましたから、時間が限られています。「この機能は後回しにしましょう」と、開発する機能に優先順位をつけてくれた時も助かりました。業務を知らなければ、それらの提言は無かったでしょうね。
- 最初の3ヶ月で要件定義を、次の3ヶ月で外部設計を行いました。最後の6ヶ月は、内部設計・開発・検証・導入の期間です。全ては順調でしたか。
- 弊社とエンジニアとの間でしっかりコミュニケーションをとれましたので、順調だったと思います。後半はエンジニアに開発へ集中してもらいましたけど、定期的に打ち合わせの機会を設け、意思の疎通をとらせていただきました。
導入効果についてIntroduction effect
- システムの切り替えはスムーズに進みましたか。
- 3月31日までは旧システムを使い、4月1日から「ラクシス」へ切り替える段取りでした。もしシステムが止まったら、業務の6割以上が停滞します。とても緊張しました。結果的には、4月と5月の2ヶ月間、ソリューションウェアが特別体制でバックアップしてくださり、無事にシステムを稼働させることができました。
もちろん、細かな不具合はありましたよ。それくらいは覚悟していました。大切なことは、不具合が見つかった時にどう対処するかです。あの時のソリューションウェアの迅速な対応には今でも感謝しています。こちらから問題点を連絡すると、1時間後には修正されている。そんなスピード感で対応いただきましたから。
- 「ラクシス」を導入して1年が経とうとしています。導入効果をどのように評価していますか。
- おかげさまで、受注業務を100%デジタル化することができました。クライアントから送られてくるcsvファイルを「ラクシス」へ取り込める機能があるので、これまでキーボードを打っていた作業が無くなりました。以前は70%ほどしかデジタル化できていませんでした。
デジタル化した効果は意外な副産物を生みました。業務効率化で創出した時間を、サービス品質の向上に充てたんです。具体的には、顧客データの整備です。データが整備されると、配送員の仕事がはかどります。結果、配送員の業務効率も高まりました。 また、配送員のサービス品質が上がれば、消費者の満足度が高まります。そうすると次はクライアントの満足度も高まりますよね。好循環を生み出したと言えます。
- アメーバ経営の実現には効果がありましたか。
- もちろんです。各拠点の経営情報がスピーディーに収集できるので、経営資料を作成するのに2日ほどかかっていたところ、1日で完成するようになりました。経費の集計精度も高まり、粗利の把握がより正確になりました。「その日は儲かったのか、その便は儲かったのか」という細かな経営が実現できています。
- 社員やクライアントの評判はいかがですか。
- 社員は、欲しかった機能が備わっていることを喜んでいます。クライアントの反応は意外なものでして、「今度はこんな機能を追加してもらいたいな」と要望をくださるようになったんです。おそらく、「ラクシス」が新機能を備えたことで、弊社がシステム開発に力を入れていることに気づかれたのでしょう。それで「要望が叶えられるかもしれない」と考えた。社員だけでなくクライアントの声も集めながら「ラクシス」はもっともっと良くなりそうです。
- 今後のラクシスへの期待を教えてください。
- すでに導入を終え1年ほどが経過しました。先ほどお話しした通り、導入効果も出ています。しかし私は、ラクシス導入の本当の効果が実感できるのはこれからだと思っているんです。
最初のプロジェクトで実現したかったことは、配送システムのプラットフォームを作ることなんです。自分たちで考えたデータベースの上に、自分たちが必要な機能を追加し続けることのできる土台作りです。
1年経った今でも機能の追加は続いています。最近もタブレット端末の導入を行いました。配送員がタブレットを持ち歩くことで、今まで以上に業務が効率化されるでしょう。その結果、消費者に喜ばれ、クライアントにも喜ばれる。期待は高まります。
これからも、プラットフォームの上に必要な機能をどんどん追加していきたいと考えています。
- 最後に、ソリューションウェアへ期待することがあれば教えてください。
- 弊社がソリューションウェアを選んだ理由の1つは、「いつまでもお付き合いできる会社だ」と感じられたからです。
私の判断は間違っていませんでした。例えば、エンジニアの川畑さんは、正しいと思ったことをきちんと伝えてくれるんですね。私と意見がぶつかることもあります。でも、「いいシステムを作りたい」という共通の目標に向かっている実感があったので、反対意見でも私はすんなり受け入れられました。ソリューションウェアをパートナーに選んでよかったと思っています。
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